【ロックダウンと休業補償】日本にはない【オーストラリアのコロナ対策】


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みなさん、こんにちは。

前回のブログはオーストラリアのコロナ対策について、特に人の入出国管理やホテル隔離など水際対策を中心に解説しました。

今回は都市ロックダウンと国民への補償を中心に紹介します。

オーストラリアのコロナ対策は成功し、世界でも評価されています。その大胆かつ迅速な対策は皆さんの参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んでください。

簡単に自己紹介させてください。

ハンドルネーム「ノーベル君」と申します。私は日本がバブル経済と呼ばれた1990年代前半、大手電機メーカーに新卒で入社しました。

会社への愛が100%のジャパニーズ・ サラリーマンでしたが、30代後半に日本社会とサラリーマン人生で直面する不自由で画一的な価値観の押し付けに毎日ストレス満タン。

自分の人生を変えようと、海外移住を決意しました。47歳でオーストラリア移住ビザを取得して、シドニーに家族3人で移住しました。仕事はオーストラリア現地企業でマーケティング担当をやっています。

私は、多くの日本人サラリーマンが目指す「出世」は叶いませんでしたが、海外移住して毎日ストレス・フリーをモットー生活しています。

【ロックダウンと休業補償】日本にはない【オーストラリアのコロナ対策】

記事目次
1.ロックダウン
 ・スピード感ある都市ロックダウン
 ・州境閉鎖
 ・「医療崩壊」対策で病院クローズ
2.大盤振る舞いの補償がセット
 ・休業補償【ジョブ・キーパー】
 ・失業補償【ジョブ・シーカー】増額
 ・個人年金からの引き出し許可
 ・なぜこんな大盤振る舞いが迅速にできたのか?
3.まとめ&コロナ推奨書籍

ロックダウン

スピード感ある都市ロックダウン

厳しい水際対策、ホテル完全隔離、感染経路の徹底的な追跡をしているオーストラリアですが、それでもウイルスは市中に入ってきます。

感染が拡大していると判断された場合は、たとえ感染者数が少なくても各州の判断で都市ロックダウンを決定します。日本の都道府県にあたる州(7つの州と1つの特別都市)で独自に決定、実行されます。

過去のロックダウンは以下の通りです。(延長期間含まず)

2020年3月 全国:期限は決めず(結果的に5月に終息し、規制は緩和)
2020年8月 メルボルン:1か月間
2020年11月 アデレード:3日間
2020年12月 シドニーの一部:5日間
2021年2月 パース:5日間
2021年2月 ビクトリア州:5日間
2021年3月 ブリスベン:3日間
2021年5月 ビクトリア州:7日間
2021年6月 パース:4日間
2021年6月 ブリスベンと他都市:4日間
2021年6月 ダーウィンと一部都市:2日間
2021年6月 シドニー:2週間
2021年6月 パース:4日間

オーストラリアの各都市は過去に散発的に市中感染が出ており、その都度ロックダウンが行われています。(シドニーは現在2週間+1週間延長のロックダウン中)

以下の動画はオーストラリアのロックダウンの徹底さについて日本のテレビで取り上げられていた内容です。

ロックダウンには違反した場合の罰則が伴います。

罰則の内容は州によって異なりますが、私が住むシドニーのニューサウスウェールズ州は室内のマスク着用違反が$200(約1.7万円)、許可された理由以外の外出違反と家族以外の人との1.5mソーシャル・ディスタンス違反が$1,000(約8.3万円)となっています。

さらに市民が警察官に唾を吐いたり、暴れたりするといろいろな罰則が追加され、最後は刑務所行きです。

罰則制度がいいかどうかわかりませんが、罰則が無いとオーストラリア人はルール守らないでしょう。

また一言にロックダウンといってもその都度詳細ルールは変わりますので、ニュースを注意してみていないと、無駄な罰金を払わないとなりません。例えば先週は自宅から15㎞まだ外出可能だったのに今週からは10㎞以内になるなどよくあります。

特に驚くことが、ロックダウンの発表から開始までがものすごく短いことです。コロナが始まった2020年前半はロックダウンの宣言から開始まで24時間以上あったのですが、最近はこの間が5~6時間程度です。

この記事は7月9日の午後に書いていますが、実はシドニーのロックダウンルールの変更がたった今、州政府からアナウンスされました。これまで運動を目的に外出は許可されていましたが、運動は自宅がある区に限り、しかも自宅から10㎞以内となりました。変更は今日の17:00からです!!!
超速攻過ぎだと思いませんか?
13:00過ぎに発表され、17:00開始ですよ。

州境閉鎖

オーストラリアでは州が独自に他の州との州境を閉鎖して人の行き来を遮断することができます。

これはどういうことか具体例を言いますと、現在シドニーはロックダウン中で、メルボルン(ビクトリア州)やアデレード(サウスオーストラリア州)、パース(ウェストオーストラリア州)、キャンベラ(首都特別地域)などはシドニー在住の人を州に入れることを禁止しています。陸路であれば州境の道路で警察が検問していますし、空路であれば飛行機に搭乗が許可されません。

仮にメルボルン在住の人がシドニーに短期滞在している間にこの州境閉鎖となった場合、この人はメルボルンに戻れますが、帰宅後2週間の自主隔離が義務になっています。

この州境閉鎖の発表もロックダウン同様に最近は5~6時間後に実施されます。中には数時間後という場合もあり、私の友人はシドニーからパースに飛行機で移動している4時間の間にパースのあるウェストオーストラリア州が州境を閉鎖してしまい、パース空港に到着したときは即隔離ホテル行きで、翌日シドニーに送還されてしまったらしいです。

今、出国禁止によりオーストラリア人は海外旅行ができないため、国内旅行のニーズがとても高いです。しかしこの突然の州境閉鎖のリスクが理由で旅行をためらう人も多くいます。

「医療崩壊」対策で病院クローズ

日本ではコロナ感染が増え、重傷者患者が増えると「医療崩壊」が起きると連日テレビで煽っていますね。この「医療崩壊」の定義は極めてあいまいですが、重症者用のベッドがいっぱいになってしまって、それ以上重傷者を受け入れらくなることなのでしょう。

オーストラリアは昨年2020年3月に全国でロックダウンになりましたが、その際に政府は緊急性のない医療行為を止めるよう通達しました。緊急性のない医療行為は手術や高度治療から始まり、眼科や歯医者など救急以外のすべての医療が停止しました。

私は歯の検診を予約していましたが、強制キャンセルになったことは言うまでもありません。

オーストラリアでは感染者が急増しなかったこともあり、結果的に医療崩壊ということは起きませんでした。しかし、がん治療を受けていた人の手術が遅れたりするなど、患者、医療現場では大きな混乱が起きたことは確かです。

このようにオーストラリアでは政府が強い権限で国民の生活の奥深くまで制限をかけました。

2.大盤振る舞いの休業・失業補償

日本のテレビでは緊急事態宣言やまん延防止法により営業自粛を強いられている飲食店の方々が一様に「補償とセットでないとダメだろー」とインタビューに答えていますね。私もまったくの同感です。残念ながら保障が十分ではありません。

オーストラリアは昨年2020年3月から2021年3月末まで大胆かつ迅速な補償を個人へ行いました。

休業補償【ジョブ・キーパー】

「ジョブ・キーパー(Job Keeper)」コロナの影響によって国民が職場で解雇されることを防ぐための給付政策です。

前年の同時期と比べて30%(大企業は50%)売り上げが減少した企業は従業員を解雇しない条件で、従業員一人当たり月額AU$3,000(約25万円)を政府から受け取ることができました。

このAU$3,000は従業員への給与として利用しなければならず、本来の従業員の給与額からAU$3,000を引いた金額が企業が負担する実質人件費となります。AU$3,000はもちろん非課税です。

すごくないですか?一人AU$3,000/月(金額は段階的に減少)をなんと約1年間続けたんです。

もし、観光や留学業界などコロナのダメージで売り上げ自体がほぼ消滅し、一切の給与を支払えない企業は従業員の月間労働時間をAU$3,000分まで削減して副業を認める対応を取りました。つまり従業員は最低でもAU$3,000/月を受け取りました。

このジョブ・キーパーによって多くの国民は失業から救われました。

最大380万人がジョブ・キーパーを受給し、約70万人が失業を回避したと言われています。

かかったご予算は890億豪ドル(約7兆円)でした。

失業補償【ジョブ・シーカー】増額

ジョブ・キーパーを使っても会社自体が解散したり、仕事そのものが無くなって失業してしまった人も多く出ました。オーストラリア政府は通常の失業補償「ジョブ・シーカー(Job Seeker)」の給付を増しました。その増額の金額は太っ腹のAU$1,100(9.2万円)/月です。

失業補償は家族構成などによって異なりますが、単身の場合の通常ジョブ・シーカーがAU$2,230(約18.5万円)/月です。これにAU$1,100(9.2万円)/月が上乗せになりました。

特に失業者からの申請は不要で、自動的に増額された金額が振り込まれたのです。

期間ですがジョブ・キーパーと同じく1年間続きました。

失業補償が充実過ぎると、失業者は働くことを避けるため、この失業補償上乗せ額は徐々に減額されていきました。しかしコロナによる労働市場の一時的な大混乱と社会不安はジョブ・シーカー上乗せによって最小限に抑えられました。

また片親家族が受給できる補助金や生活困窮者向けの生活保護も増額されました。

個人年金からの引き出し許可

オーストラリア政府は失業や収入減少によって目先の生活資金が不足する人への特別対策として確定拠出個人年金からの積立額引き出しを認めました。

引き出し額はAU$10,000(約83万円)を最大年2回です。もちろんこの金額は本人の年金ですので、将来受給できる年金から差し引かれます。

申請も簡単でとても迅速でした。ネットからの申請で2~3日後には振り込まれました。

なぜこんな大盤振る舞いが迅速にできたのか?

国民共通番号とIT基盤

オーストラリア国民は子供を除きほぼ全員タックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)を持っています。この番号が無いと収入や所得に45%の最高税率がかかってしまいますので、税金の支払いを抑えたい国民は必ず持ちます。

このタックス・ファイル・ナンバーは雇用主と銀行、年金基金、国税局、連保政府、州政府で共有されているので、国民の所得、納税、預貯金情報が紐づけられてお金の流れが見える化されています。

この仕組みを使ってコロナで困っている人に対して給付金が直接かつスピーディーに銀行口座へ入金されました。お金の流れが一目瞭然なので、誰が収入減少になったかが把握できます。虚偽の申請をして給付金を受給しても簡単にバレてしまいます。

オーストラリアは国民に対しMyGov(マイガブ)というウェブサービスを提供しています。このMyGovは国民健康保険や国税局のサービスと連携ができます。各種申請はもとより申請事項の進捗・結果の連絡もMyGovから通知されます。

コロナによる国民への救済策はこのタックス・ファイル・ナンバーとMyGovシステムがあったのでものすごく迅速にできたわけです。

支給ファースト。不正は後から調査し罰則

日本では各給付金申請が複雑かつ時間がかかると言われていますが、これは仕組みのみならず性悪説に基づく考え方があることは明らかです。不正する人がいるので、きっちりチェックしてからでないと支給できないのでしょう。

オーストラリアは給付資格があることを申告(ウェブでチェック)し、虚偽が無いことを誓約(ウェブでチェック)します。するとシステムが自動で銀行口座情報、納税情報を確認し、重複などエラーが出なければ即給付となります。

もちろん不正する人も多くいますが、不正を防ぐということ以上にスピーディーな支給を最優先しています。

支給後に抜き打ち調査や国民からの不正通報システムを通じて、もし不正があった場合は返金と罰則が課せられます。

健全な国家財政

これが一番のポイントだと思います。

オーストラリアは国の借金、赤字が少ない財政が健全な国です。これまで過去のオーストラリア政府は常に歳入と歳出のプライマリーバランスの安定に努力しました。その甲斐あって、この程度のコロナ緊急財政出動は痛くもかゆくもありません。

大盤振る舞いの財政出動後もオーストラリアは格付け機関から最高位の評価を継続しています。

現在オーストラリアの累積財政赤字は約65兆円(対DGP43.2%)です。日本は約1,200兆円(対DGP224.9%)ですね。

日本政府の家計は借金まみれで首が回りません。お金がないから国民へ十分なコロナ補償ができないんです。

政治

コロナ対策には政治が大きく影響します。

モリソン豪首相は2019年12月から2020年2月までオーストラリアを襲った森林火災(ブッシュ・ファイヤ)の対策で失敗しました。鎮火は州の管轄だと他人事のような発言に加え、火災が続く中で家族とハワイ旅行に出かけ、のんきなメリークリスマスコメントをSNSにアップしました。

その後国民のモリソン首相への怒りは最高潮となり、与党自由党の支持率は急低下、政権は危機に陥りました。モリソン首相は帰国後すぐに被災地を訪問しましたが、被災者たちは首相を無視し首相からの握手すら受け付けないほどの怒りでした。

今回のコロナパンデミックに対しモリソン首相はものすごい強権で森林火災対応での汚名を返上しようとしました。財務大臣、保険大臣と緊密な関係を築き、コロナ感染の抑え込みと財政出動を躊躇することなく実行しています。

連邦政府だけでなく州政府も同様にコロナ対策はまさに選挙対策でもあります。コロナ禍でウェストオーストラリア州とクイーンズランド州で知事選挙がありましたが、厳しい感染対策を行った手腕が支持され現職知事が当選しています。

3.まとめ&コロナ推奨書籍

まとめ

オーストラリアはコロナの市中感染が発生したら、感染者が少人数でもロックダウンを行います。ロックダウンと合わせて州境をクローズし、人流を徹底的に抑制しています。

コロナで収入減、雇用不安を受けた国民に休業補償ジョブ・キーパーを、失業者にはジョブ・シーカー増額で社会不安を乗り切りました。

オーストラリアは国民共通番号とIT基盤、支給優先の考え方があります。そして健全な財政と政治のリーダシップによってコロナからの国家の危機を乗り越えようとしています。

コロナについておススメの書籍を紹介

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☝コロナ後はどんな社会だろうか、私たちはどうのように生き抜くべきかを示唆してくれます。我々はもっと柔軟にならなければならない!



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過去の記事

*【オーストラリアのコロナ対策】日本にはない【国境封鎖と感染者追跡】

*海外から眺める【日本のコロナ感染対策】少し変(ヘン)じゃない?

*オーストラリア コロナウィルスの状況(2020年7月22日)

も合わせて読んでください。

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