TAX TIME !【タックス・リターンとは?】オーストラリアで暮らす人の義務


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みなさん、オーストラリアでは毎年7月になると「Tax Time!」と皆一様に口にします。

これは前年度の収入と経費の報告のことで、当地ではTax Return(タックス・リターン)と呼びます。

このTax Returnはオーストラリアで暮らす人の義務となっています。仕事をしていなくても申告する必要がある場合があるため、オーストラリア移住を目指す方は絶対に知っておきたい情報です。

本ブログではTax Returnについてわかりやすく解説しますので最後まで読んでみてください。

簡単に自己紹介させてください。

ハンドルネーム「ノーベル君」と申します。私は日本がバブル経済と呼ばれた1990年代前半、大手電機メーカーに新卒で入社しました。

会社への愛が100%のジャパニーズ・ サラリーマンでしたが、30代後半に日本社会とサラリーマン人生で直面する不自由で画一的な価値観の押し付けに毎日ストレス満タン。

自分の人生を変えようと、海外移住を決意しました。47歳でオーストラリア移住ビザを取得して、シドニーに家族3人で移住しました。仕事はオーストラリア現地企業でマーケティング担当をやっています。

私は、多くの日本人サラリーマンが目指す「出世」は叶いませんでしたが、海外移住して毎日ストレス・フリーをモットー生活しています。

TAX TIME !【タックス・リターンとは?】オーストラリアで暮らす人の義務

記事目次

1.Tax Returnとは
2.Tax Returnの対象者
3.Tax Returnで申告する総収入の範囲
4.Tax Returnの「経費」とは申告
5.Tax Returnのやりかた
6.タックス・リターンの申告をした後
7.副業を考えよう
8.まとめ

1.Tax Returnとは

Tax Returnとは日本の「確定申告」や「年末調整」と同じ意味だと説明しましたが、ルールや仕組みが日本と全く同じではありません。日本と比べながらオーストラリアのTax Returnを解説します。

日本の確定申告と年末調整は

日本の確定申告は毎年2月16日~3月15日の間に前年1月1日~12月31日に発生した事業収入と経費を税務署に申請します。自営業の方にはお馴染みだと思います。

サラリーマンや公務員の場合は源泉徴収とよばれ、税金と社会保険料を会社が計算して給与天引きされ、そのまま税務署に申告されますので個人は何もやることがありません。ですからか確定申告について関心が薄いかもしれません。

ただし、「年末調整」と言えばピンとくると思います。人事部や総務部から毎年年末に書類の記入依頼が来ていますよね。

配偶者(夫、妻)や扶養家族(養っている家族)の数は総所得から課税所得を減らす控除額に影響するため、年末調整は正しく申告する義務があります。

また源泉徴収が原則のサラリーマン、公務員も年末調整で追加の経費を申告して課税所得を減らすことが認められています。加入している生命保険や住宅関連保険の支払い額、寄付額等を申告することで、その額が経費扱いされ、課税所得が減少し、節税になります。

Tax Return(オーストラリア版確定申告)は

Tax Returnを一言でいうと、
毎年7月1日から10月31日の間(Tax Agentへ依頼する場合は翌年5月15日まで)に前年の7月1日から翌年の6月30日(オーストラリアの会計年度)の間に受け取った総収入と経費をオーストラリア国税局ATO(Australia Tax Office)へ申告することです。

Tax Returnは毎年7月から始めるので、7月になるとオーストラリア人はTax Timeと口々に言い、Tax Returnの準備を始めます。

Tax Returnの目的は前年度の課税所得(Taxable Income)を決定するためです。

課税所得=総収入-経費ですので、総収入必要経費(仕事に必要だった経費)を申告します。

Tax Returnという言葉から税金が戻ってくるとみんな思いますが、決してそんなことはありません。

Returnには「申告する」という意味があるそうです。

Tax Returnで最終確定した課税所得が前年度に給与天引き(源泉徴収)の基準になった課税所得より少ない場合は、税金の還付がありお金が戻ってきます。

逆に確定した課税所得が前年基準の課税所得より多いと、追加の納税を求められます。

2.Tax Returnの対象者

Tax Returnは個人事業主だけではなくサラリーマン、公務員も同じやり方で申告しなければなりません。

18歳以上のオーストラリア居住者で収入がある人はTax Returnの対象です。

ただし、「収入が年間AU$18,200(約155万円 非課税上限)以下の人」はTax Returnは不要です。しかし自分がTax Returnが不要だというNon-Lodgement Adviseの書類申請をATOへ提出する必要があります。

オーストラリアに移住し、年間AU$18,200(約155万円)以上の収入がある方は100%Tax Returnの義務があると考えてください。

オーストラリア非居住者や失業手当受給者、オーストラリアの年金受給者、ワーキングホリデーの人には特別なルールや運用があるため、不安な方は現地でTax Returnを代行する税理士や留学斡旋会社などに確認したほうがいいです。

3.Tax Returnで申告する総収入の範囲

Tax Returnは

・給与所得
・給与外所得(副業等)
・銀行利息
・不動産賃料
・不動産売却益
・株・債権の配当と売却益(キャピタルゲイン)
・海外の収入

など

の収入をすべて報告する必要があります。つまりこれらすべてが課税対象の収入となります。

全世界所得課税

オーストラリアは海外の収入も課税対象の「全世界所得課税」です。

オーストラリアに移住した後も日本に収入がある日本人は多くいます。

日本国内の事業収入、不動産、株・債権・仮想通貨、年金、保険、遺産相続などをオーストラリアで申告しなければなりません。

特に以下3つ

①日本で確定申告している場合のその収入
②日本で公式に確定した遺産相続額
③日本で受給している公的年金額

は絶対にTax Returnで申告してください。

なぜかと言うと、この3つの情報は日本の国税局が把握し、ATO(オーストラリア国税局)と共有しているからです。

日本でのその他の少額収入についてはそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。

外国で納税済みの収入

日本で確定申告や相続申告して正しく納税した場合は、オーストラリアで重複して課税されることはありません。

日本とオーストラリアは租税条約を締結していますので安心してください。

日本で支払った税金の分だけオーストラリアでの税金が減ります。
Tax Returnに備えて日本の確定申告書、納税通知書と税金を支払った控えを必ず保管しましょう。

収入の未申告をしたら

メインの所得以外の収入を申告しなくてもATOにバレないと思うかも知れませんが、簡単にATOに見つかってしまいます。

ATOはオーストラリア国内の銀行や一般民間企業はじめ日本の国税局など外国行政機関、海外民間企業と交換する各種データとTax Returnで申告されたのデータを照合しています。

例を挙げると、オーストラリアの銀行預金者はTax File Number(タックス・ファイル・ナンバー)と呼ばれるATOが管理する納税者番号を銀行口座開設時に銀行へ報告します。ATOからは納税者の銀行口座のお金の入出金がガラス張りで、容易にTax Returnの申告内容に矛盾があるかチェックできます。

そして矛盾や疑問に思うことがある場合にはATOは納税者に問い合わせや監査が入ります。

またATOは移民局とも連携しているので納税者のビザのステータスや出入国情報も照合し、居住者か非居住者かによる税率の違いも自動的に確認できます。

過去の未申告収入まで指摘されると遡って納税しなければいけません。悪質な虚偽の場合は重加算税として罰金が加算されます。

オーストラリアでは副業も一般的で、個人が事業を行う際はABN(Australian Business Number)と呼ぶ事業番号の登録が義務になっています。副業の収入はこのABNに紐づけされて相手方から支払われるため、納税者の銀行口座に入金された金額が収入なのか、そうでないのか、また収入であれば何の収入かが一目瞭然です。
支払う側がABNを使わずに給与や何かの対価を支払った場合、支払う金額に追加で46%の税金が課されるため、真っ当なビジネスではABNを使って支払いが行われます。収入の報告逃れは難しいのが実情です。

また、多額または頻繁な海外送金はATOから目を付けられやすいので情報として知っておいたほうがいいでしょう。オーストラリアの銀行はAU$10,000(約85万円)以上の海外送金はATOへ報告義務があります。

4.Tax Returnの「経費」とは

サラリーマンと公務員もTax Returnで仕事に掛かった経費を申請します。

え、サラリーマン、公務員も?と思う方も多いと思います。

日本とオーストラリアの課税所得について大きな違いの一つが、オーストラリアには基礎控除、給与所得控除が無いことです。

基礎控除と給与所得控除というのは所得から雑経費としてあらかじめ一定額を差し引く(控除する)ことで、所得から「控除」を引いた金額が納税額を決める課税所得となります。

日本ではこの基礎控除と給与所得控除が必要経費としてあらかじめ設定されて自動的に課税所得が減少します。

給与収入500万円のサラリーマンを例にします。日本では「控除」は144万円となり、500間年から差し引いた356万円が課税所得になります。

同じ収入、税率でも「控除」があり課税所得が減少する日本よりも、「控除」がなく受け取った収入がそのまま課税所得になるオーストラリアのほうが納税額は多くなります。

オーストラリアでは日本のように自動で控除するルールがありません。

そのため、オーストラリアでは仕事にかかった費用を必要経費として自分で申告して課税所得を下げることが認められています。

面倒くさいですがこの経費は申請すれば、あとで税金の還付(戻り)がありますので、頑張ってやりましょう。

経費扱いできるもの

・仕事をやるために必要な道具、機材(パソコン等IT、机、携帯電話、文房具など)
・仕事に必要な書籍、データ
・仕事に使うユニフォーム、制服とそのクリーニング代
・仕事に使う特殊な靴(安全靴、特殊な作業靴)
・仕事に必要な交通費(通勤除く)、出張費
・仕事に使う車の経費(通勤除く)(車本体、ガソリン、修理・点検、清掃、レジストレーション、保険、駐車代、高速代など)
・Tax Returnの税理士費用
・在宅勤務費用
・学校等オーストラリア認定の団体への寄付
・学校設立基金(School Building Fund)
・医療保険費用

どうですか、いろいろと必要経費として落とせると思いませんか?

(仕事に必要だったとしても)経費扱いできないもの

・一般の洋服・靴、ビジネススーツ
・通勤費
・接待費、飲食費用
・自宅の修理代、家賃

注意事項

  • お客さんとのミーティングだとしても食事はダメです
  • 今の仕事でなく新しい仕事、キャリアのための費用はダメです
  • パソコンや携帯、複数年間使用する機材は一括の経費処理でなく数年に分け分割で経費処理します
  • 携帯電話や車など私用にも使うものは仕事での使用割合を報告します
  • オーストラリアでは職場への通勤費は自腹です。経費処理もダメです
  • Tax Returnで経費となるものでも会社で経費精算したものを重複して申請はダメ
  • COVID19対応で1時間当たり80セント(約72円)の在宅勤務経費が認められています
  • 領収書は必ず取っておきましょう。PDFもOK
  • ATOには業界別にベンチマークといわれる経費の基準があります。それを大きく超える経費申告は、監査が入る確率が増すことになりますので経費は仕事に掛かった分だけ正しく申告しましょう。

5.Tax Returnのやり方

Tax Returnのやり方は2つです。

Tax Returnを自分でやる

一つ目が「自分でやる」です。オーストラリア国民の行政サービス基盤のMyGov(マイガブ)サイトにログインしてATOのサイトへ移動するとオンラインでTax Returnの申請ができます。費用は$0です。

しかし

・Tax Returnの申請を自分でやると手間と時間がかかります。

・間違った申請をしたり、ATOから指摘や問い合わせを受けたときに、正直自分一人では対応できません。

海外の収入の扱いや経費の処理の仕方などは正しく経理知識をもって行わなければいけません。間違った情報を入力すると虚偽申告として扱われます。

My Govログイン画面

ATO Tax Returnページ

Tax ReturnをTax Agentに依頼する

二つ目のTax Returnのやり方が、「TAX Agentに依頼するです。Tax Returnの申請は専門知識が必要な場合もあり、TAX Agentと呼ばれる税理士に申請を代行してもらうことが一般的です。1年分のTax Returnの代行で通常AU$100~150/人が相場です。

日本人のTAX Agentも多くいますので日本語でやり取りできます。

TAX Agentに依頼したほうがいい理由は

・Tax Return申請の時間と手間が省ける
・TAX Agentから日本語で節税のアドバイスを受けることができる
・Tax Return申請後のトラブル発生時に専門的な対応をしてもらえる

収入と経費の申請でどのような書類や情報を提出するべきか、TAX Agentは親切に教えてくれます。

海外で確定申告した収入や遺産相続収入がある場合や仕事で使った費用のうち経費処理できるかどうか迷った場合も遠慮せずTax Agentへ相談することをお勧めします。

ついでの情報ですが、私の失敗談から。

あなたがはじめてのTax Returnをする場合は、7月になってTax Agentを探して相談するのでは遅いです。
働き始めたら早めにTax Agentへ相談することをお勧めします。
どのような記録を残せばいいか、必要なレシートの種類などを専門家のアドバイスをもらってから、せっせと保管するといいと思います。7月になってTax Returnしようと思ったときに「あー、あのレシート捨てちゃったぁ」、「記録とってないー」と戻ってくるべき税金が戻ってこなくなることに後悔してしまいます。

7月、8月はTax Agentも忙しくて対応もよくないかもしれません。繁忙期でないときに相談しましょう。

以下にシドニーにある日本人Tax Return Agentを2社参考までに紹介します。

Ezy Tax Solutions

甘利会計事務所

6.タックス・リターンの申告をした後

Tax Return申請後1~2週間ほどで「Notice of Assessment」という結果通知がmyGovのメール・ボックスに直接メールが来ます。

Notice of Assessmentには確定した課税額と還付金もしくは追加納税額が記載されています。還付金はあなたの銀行口座に振り込まれます。追加納税が必要な人の場合、Notice of Assessmentは請求書を兼ねているので、郵便局やネットバンキングから支払います。

サラリーマンや公務員でTax Return後に追加納税が必要な人は、総収入のうち副収入(副業収入、海外での収入、家賃収入、不動産や株のキャピタルゲインなど)が多くある場合に考えられます。総収入が主にメインの雇用主からの所得の場合はTax Return後に追加納税はほぼ無いと考えていいです。

7.副業を考えよう

物価が高いオーストラリアでは会社員も副業(投資や友人と起業、アルバイト)をする人は少なくありません。海外移住を考えている皆さんは、今のうちに将来の副業の準備やスキルアップを検討ください。

副業で得た収入をきちんと確定申告すれば何も問題ありません。

日本人が少ない資金ではじめられる副業というと、ブログや動画編集、Webデザインプログラミングが一番手ごろです。もしあなたが副業に向く専門スキルが無く、Webデザインとプログラミングスキルを身につけたいなら、以下の2つのオンラインスクールが初心者向けでおススメです。

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8.まとめ

・Tax Returnは日本の確定申告、年末調整と同じ意味で、オーストラリアに住み、収入がある人は毎年正しく申請することが義務です。
・Tax Returnはメインの雇用主からの所得のみならず、すべての収入を申告します。
・オーストラリアでは基礎控除と給与所得控除の制度がありません。その代わりに仕事に必要な費用を必要経費として申請して課税所得下げることができます。
・Tax Returnは自分でもオンラインで可能ですが、経理の専門知識も必要なため、Tax Returnを代行する税理士に依頼することが一般的です。
・Tax Return申請すると、数週間以内に課税所得が決定され、還付金がある場合は銀行口座に振り込まれ、追加納税が必要な場合は支払処理をします。
・オーストラリアでは公務員を除き副業をする人が多くいます。プログラミングとウェブデザインのスキルがあれば、すきま時間を使って収入を増やすことができます。Tax Returnでは副業に必要な費用も必要経費として申請できます。

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別記事「【税金はオーストラリアと日本どっちが安い?】オーストラリア所得税を解明」も参考になると思います。ぜひ合わせて読んでください。

いかがでしたか?

今回の記事が皆さんの海外移住の参考に少しでもなれば嬉しいです。

これからも役立つ情報を紹介していきます。

ではまた。

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